うみともコラム♯06
海の生き物は「におい」で世界を見ている?
― 目だけじゃない、海の中のもうひとつの世界
海の中では、
目だけが頼りではありません。
私たち人間は、まわりの世界を見るとき、まず「目」を使いますよね。
でも、海の中では少し違います。
水の中には、さまざまな物質が溶けています。
・生き物の体から出る物質。
・食べ物から出る物質。
・植物や海藻から出る物質。
こうした「化学物質」の情報を感じ取ることで、
海の生き物たちは、周りで何が起きているのかを知ることがあります。
つまり海の中には、
目では見えない情報がたくさん流れているのです。
◎「におい」は海の中を流れていく
陸上では、においは空気の中を広がっていきます。
海の中では、化学物質が水に溶けたり、水の流れに運ばれたりします。
そのため、生き物によっては、
「こっちに何かいる」
「近くに食べ物がある」
「この場所には仲間がいるかもしれない」
といった情報を、化学物質から受け取ることがあります。
私たちには見えないものが、
海の中では「手がかり」になっているのです。
◎サメは「におい」を感じ取るのが得意
この能力でよく知られているのが、サメの仲間です。
(ファインディングニモにも出てきましたよね)
サメは、水中にあるさまざまな化学物質を感じ取ることができます。
獲物から出た物質などを手がかりにして、周囲の情報を探ることもあります。
ただし、
「サメは血のにおいを何km先から嗅ぎつける!」
というイメージは、少し注意が必要です。
海では水の流れや濃度など、いろいろな条件が関係するため、
単純に「遠くのにおいを一直線に追いかける」というわけではありません。
それでも、化学物質を感じ取る能力が、
サメを含む多くの水生動物にとって
重要な情報源になっていることは確かです。
◎ウミガメも「化学物質」を手がかりにする
海を長い距離移動するウミガメにも、
化学物質を感じ取る能力があります。
海には、場所によって異なる化学的な特徴があります。
そのため、ウミガメが移動するときにも、
海の中の化学的な情報が
手がかりのひとつになっていると考えられています。
海は、どこを見ても同じ青色に見えるかもしれません。
でも、生き物たちにとっては、
「この水には、どんな情報が含まれているのか」
という違いまで感じられているのかもしれません。
◎ クジラやイルカも「化学物質」を感じている
もちろん、海の生き物すべてが同じように
「におい」を使うわけではありません。
イルカやクジラの仲間では、視覚だけでなく、
音を使ったエコーロケーションなどが非常に重要です。
一方で、海の中には、
化学物質を手がかりとして利用する生き物がたくさんいます。
生き物によって、
「目を使う」
「音を使う」
「水の動きを感じる」
「化学物質を感じる」
など、世界を知る方法はさまざまなのです。
◎私たちが見ている海は、海のほんの一部
海を見ていると、
「青いな」
「魚がいる」
「波がきれいだな」
と、目に入ってくるものに注目します。
でも、海の生き物たちは、それだけではありません。
水の中を流れる化学物質。
水の温度。
水の動き。
音。
光。
私たちには気づきにくい情報まで感じ取りながら、
海の中で暮らしています。
だから、海の中は私たちが思っている以上に、
たくさんの情報で満ちた世界なのかもしれません。
◎海を見るとき、少しだけ想像してみよう
もし海の中に入ったら、
私たちにはただの「水」に見える場所でも、
魚にとっては「食べ物の気配」が流れていたり、
別の生き物にとっては「仲間の存在」が感じられたり、
別の場所では「危険の手がかり」が届いていたりするのかもしれません。
私たちには見えないものを感じながら、
海の生き物たちは暮らしています。
次に海を見るときは、
「この海は、どんな情報で満ちているんだろう?」
そんなふうに想像してみるのも、
海をもっと好きになるきっかけになるかもしれません。
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